2017年7月25日火曜日

タヌキの疥癬と無責任な現状




野生タヌキの間で蔓延する疥癬やその対応、熱心に対応していないと思われる一部自治体の現状も紹介します。

タヌキに蔓延する疥癬

疥癬とは感染力の強い小さなダニ自身が引き起こす皮膚病です。近年野生のタヌキの間で流行していて、毛のないタヌキが居たら感染していると考えてほぼ間違いないでしょう。タヌキに感染すると皮膚の上で繁殖していくことで、体毛がどんどん抜けていき痒みを伴うこともあるとされています。結果として体を保護する体毛が無くなる上に皮膚の状態が悪くなり、寿命を縮めることとなります。厄介なことに自然治癒はかなり難しいとされていて、人が治療するしかありません。

感染している動物が居たら自治体へ

感染した野生動物を保護した場合自治体に窓口があるので、そちらへ連絡すると対応について教えてくれます。対応窓口については市町村レベルと都道府県レベルで対応してる場合の二パターンがあるので、どちらかの環境課などに連絡することになります。

今回の記事のテーマでもある野生動物への対応は、自治体により対応が分かれているだけでなく、あまり熱心に対応していないケースもあります。後で詳しく記述しますが、感染拡大やペットの犬にもかかわるので、心配なことです。

そもそも疥癬とは?

疥癬はダニが引き起こす病気です。人も疥癬に発症しますが、媒介するダニは決まった種類のダニが決まった動物に感染するため、動物から人へと広がるものではありません。人が感染するのはヒトヒゼンダニという種類です。しかし、本来感染するはずのないダニでも、一時的に付着したものが痒みを引き起こすなどは十分考えられるので、疥癬の動物には注意が必要です。

真マダニと違い体が直接接触した場合にダニが移動して発症します。外気に対してはあまり強くなく、人や動物の肌と同じような温度・湿度以外だと活性が弱まります。また、服の上のに付着した場合、皮膚まで達することは基本的にはないとされています。なので疥癬でも軽い症状であれば、長時間体が接していなければ大きな問題はなく、手洗いうがいなど通常の病気への対策で良いとされます。

皮膚が角質化しているような場合は大量のダニが居るので、非常に注意が必要です。この場合は直接の接触を避けるためのビニール手袋などの防護服の着用や、接触したときに着用していた衣服をビニールに入れて殺虫剤で処理するか、50度以上のお湯に10分以上つける必要があります。

感染したら人の場合は人の病院へ、犬猫などのペットの場合は動物病院で治療することができます。今回のタヌキの話で言えば、体の一部の毛が抜けている程度なら完治も見込めますが、全身の毛が抜けている場合は完治しても毛が戻らない可能性があるので、元通りには難しい部分があります。

数を減らす原因だけでなく犬にも

タヌキは縄張りを持つ動物ではなく、他のタヌキと生活圏を共有したりします。そのためタヌキ同士が接触して、疥癬がどんどん広がる傾向にあります。そのため生息数を減らす一因となっていて、一部地域でのタヌキ激減は疥癬が原因とされています。

タヌキというのは自然豊かなところに生息するイメージのある方も多いと思いますが、自然豊かな野山以外にも、都市部の河川敷や大きな公園を利用して人々の近くでも必死に生き抜いています。これは都市開発で生息域が狭められた結果です。生息域が狭められ狭い地域にタヌキが密集することで、より感染スピードが速まっている可能性も指摘されています。

タヌキはイヌ科の動物なので、タヌキの疥癬は犬にも移ります。タヌキは都市部の公園や河川敷を利用しているため、近隣を散歩する犬にとってもある程度注意が必要です。ちなみに猫の疥癬はハクビシンやアライグマにも感染する可能性があるので、もし疥癬に感染したその二種を見たら気をつけてください。


治療と自然任せと別れる対応

野生動物なので、自治体も基本的には何もしません。ただし、何らかの理由で保護された個体については、対応が分かれます。

感染して早期の場合は順調であれば一か月程度の治療で治るので、保護された個体については状態を見て治療して野生に返す自治体がある一方で、自然はそのままにという考えや受け入れ態勢が整っていないなどの理由で、何もせず放すという自治体もあります。

正解のない対応

しっかりと考えた結果であれば、どちらの対応も間違ってはいないと思います。

疥癬の拡大の要因の一つが人の生活圏拡大とされていることや、犬との関係性も考えれば、保護できた分は人間が責任をもって対応するというのは分かります。

逆に自然に任せることで疥癬に強い個体が残る可能性にかけたり、人が動物へ関わることで発生する問題を考えて、見守るというのも一理あります。受け入れ態勢が整っていないのに受け入れるのも、二次感染の点など問題があるので仕方ありません。

そしてどのの場合でも必要なのは、状況の把握です。個体数が減っているか・感染地域が拡大しているかで、今後の方針は決めるべきだからです。

ただ放置しているような例も…

残念なことによく考えた上で何もしないというのでなく、ただ放置しているような例もあります。それは私が出会った例です。

私はアライグマの調査のため各機関に許可を取り、河川に箱罠をしかけていました。その箱罠にタヌキが入ったため、野生に返そうとしたところ疥癬になっていたようなので、保護のため一時自宅へ持ち帰りました。そこで自治体に連絡したところ、すぐに放してくれと言われました。他のタヌキへの影響はないかと聞いたが、自然ではそういうものなのでと言われました。

そこまでは仕方ない部分もあると思うのですが、タヌキが捕獲された場所などについては一切聞かれませんでした。何もしないのであれば、様子を見るために現状の把握については必須のはずです。それが何もないということは、明らかに対応としては不十分です。更に捕獲した場所が河川なので、犬が頻繁に散歩していることを考えると場合によっては放すのが適切とは言いにくいと思います。

更に個人で保護することは可能か聞いたところ、狩猟免許でなくアライグマの捕獲許可証しかないので、手続きができないということを即時返答してきました。また、以前にアライグマのことを問い合わせしたところ、いい加減な情報を教えられたので不信感もあります。

そういうわけで可哀そうなタヌキをなすすべなく放すしかありません。自治体によってはしっかり対応しているようなので、タヌキも住むところで運命が変わってしまうようです。何だか気持ちの良くない結末となってしまいました。タヌキが元気で駆け回ってくれることを祈ります。

アライグマ調査でも痛感したことですが、具体的な状況把握を行っていない場合があります。財政が厳しくなるなか動物にまで予算を割けないというのは理解できますが、初期対応を誤れば更にコストがかかります。疥癬の場合はペットの犬など身近な生活に関係しているので、最低限状況把握は必須なのではないでしょうか?

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