2019年3月6日水曜日

けのもフレンズ2のほそく その2




けものフレンズ2に出てくる動物たちの補足なんかを、ちょこちょこ追加しながら書いて行きたいと思います。

7話「すぴーどのむこう」

この話に出てきたのは「プロングホーン・オオミチバシリ(G・ロードランナー)・チーター」の3人のフレンズです。

オオミチバシリは北米に住むカッコウの仲間です。ワーナーブラザーズの作ったアニメにもロードランナーの名前で登場します。その時の鳴き声は「ミーミー (Beep! Beep!)」でTシャツの文字の元ネタと思われます。

プロングホーンも北米に住む鹿のような生き物ですが、アフリカのトムソンガゼルなどと一緒で分類上は偶蹄目で、どちらかというと牛に近い仲間です。

多摩動物公園のチーター
チーター(多摩動物公園)
チーターと言えば、言わずと知れたネコ科最速の動物です。体が高速走行に特化しており、体重が比較的軽かったり普通のネコ科が収納できる爪が収納出来ません。普段この爪が収納出来る無駄の無さがイヌ科よりネコ科が繁栄出来た理由の一つという説もあったり、本来これは大きなメリットです。高速走行に特化するために違った部分に無駄が出来たり、何かを得るためには何かを捨てるしかないという進化の一例だと思います。古代エジプトやインドの王族がチーターを狩猟犬の代わりにしたりと、あくまでも比較的ですが人懐っこい性格です。今では絶滅しましたが、ライオンと同じくインドのほうまで分布がありました。

8話「すぴーどのむこう」

この話では「マーゲイ・PPP(ペンギン)、タヌキ、パフィン、トキ、オグロヌー、トムソンガゼル」が登場しています。観客モブでは「ピューマ、アラビアオリックス、アカギツネ、ハクビシン、カワラバト、カピバラ、ニホンオオカミ、ハイイロギツネ、アラスカラッコ、オオウミガラス、不明なフレンズ2人」が登場します。

※1期で紹介したフレンズたちはこちら
リアルけものフレンズ ペンギンさん達
リアルけものフレンズ アカギツネ(キタキツネ・ギンギツネちゃん)

パフィンはニシツノメドリと呼ばれる小型の鳥で、北半球の北極圏により少し南の広い地域に住んでいます。海で小魚を捕る鳥なのですが、嘴に沢山の鳥を咥えて飛ぶのが有名です。そのせいか、アプリの頃から食いしん坊なキャラ付けされています。独特の顔つきや愛嬌のある行動で、愛されている動物です。

タヌキは言わずと知れた生き物ですが、その生態はまだまだ謎が多い生き物です。身近な生き物は案外予算が付かず、調査が遅れたりするものです。日本では都心にも住み着き、皇居や墨田川など区内でも見ることが出来ます。都心の彼らは講演や川に線路沿いの草むらや側溝など、緑や隠れ家の多い通路を使い細々生きているのが現状で、いつか消えないとは言えない状況です。日本の都市計画にはまだまだ動物の回遊が含まれておらず、タヌキに限らず様々な動物が移動を制限されることで遺伝的多様性が限定されることが懸念されています。また、毛皮用に持ち込まれたロシア産のタヌキがヨーロッパに住み着き、アライグマとタヌキでブイブイ言わせてたりするのだ!

オグロヌーとアラビアオリックスは、どちらもアフリカに住む生き物です。ライオンやチーターにやられてるとこは、テレビで見たことがある人も多いかもしれません。

モブからもピックアップしてみると、アカギツネはいわゆるキツネです。キタキツネもギンギツネもアカギツネの中の、キタキツネやギンギツネです。オオウミガラスは絶滅した鳥で、元々はこちらがペンギンと呼ばれていました。食用や羽毛のために乱獲された挙句、最後のつがいは高値で売れると捕まえられて絶滅しました。悲しい話です。

ニホンオオカミも言わずとしれた有名な絶滅動物です。最近残念な生き物図鑑シリーズの「わけあって絶滅しました」でも紹介されていたようですが、結構誤解のある表現が見られるようです。簡単に絶滅理由をまとめると「人間による海外からの病気の持ち込み・文明化による木材需要による生息地の森林減少・農耕から牧畜や肉食への転換により益獣から害獣へと認識が変わった」などが原因とされ、ほぼ人間が絶滅させた生き物です。特に上記の病気の持ち込みや森林破壊は、我々人類もこれでいくつもの文明が崩壊やその危機を起こしていて、とてもネタになることではないですが…と、ちょっと脱線してしましいましたね。

9話「おうちにおかえり」


今回はイエイヌだけがメインで登場です。イヌと言えば誰もが知っている動物で、見たことがない人はおそらく居ないでしょう。

西・中央アジア付近でタイリクオオカミを家畜化したというのが、今の学説の主流です。柴犬やチャウチャウなどオオカミの遺伝子に近い犬種がアジアに居るのも、それが理由とも言われています。

ちなみにキュルルちゃんがフリスビーを投げていましたが、ちょっと練習しないと真っすぐ飛ばすのは難しかったりします。特に犬とフリスビーやる時は良い感じ回転を付けて、ゆっくり落ちるようにしないといけないので、更にテクニックが必要だったりします。

9話「ちぇっくいん」

この話ではフウウチョウ・ブタ・オオミミギツネ・ブタ・ハブが登場しました。

フウウチョウはそれらの総称です。別命「極楽鳥」とも言われる鳥で、英語だと「Bird of paradise」です。どの種類も美しい模様や飾り羽を持ち、求愛ダンスをすることが有名です。その中で「カンザシフウウチョウ・カタカケフウチョウ」が登場しました。この二種の羽は特殊な構造で、光の99.95%を吸収し人類が作り出した最も黒い物質に次ぐレベルです。

リョコウバトは絶滅した鳥です。北米に住んでいた鳥で、かつては莫大な数が生息していましたが、乱獲が主因で絶滅しました。

オオミミギツネはアフリカに住みます。オオミミギツネだけでオオミミギツネ科を作り、白アリなどの昆虫を主食とします。

ブタも皆さんお馴染みにブタです。綺麗好きな動物で、一説には犬並みの知能と賢い動物です。大きさを除けばとても飼いやすい動物で、人類の友と言える動物です。

ハブは沖縄に住む猛毒のヘビです。ハブを捕まえる時は長い捕獲棒をつかったりするので、それが理由で長いものは苦手と言ったのだと思います。

※関連記事
けものフレンズ2のほそく その1
リアルけものフレンズ 各話登場フレンズ

2019年3月5日火曜日

リアルけものフレンズ ペンギンさん達




けものフレンズに登場する動物たちを紹介しようという企画です。今回は8話登場のPPP(ぺパプ)を含むペンギン全般についてザックリ解説します。

南極から赤道まで広い生息地

プールを泳ぐフンボルトペンギン
プールを泳ぐ
フンボルトペンギン
ペンギンと言えば南極のイメージでしょうが、南極に住むアデリーペンギンから赤道に住むガラパゴスペンギンと非常に広い地域に生息しています。PPPの場合、コウテイペンギンが南極・ジェンツーペンギンが南極の北端から南米の南端の帯状地域・ロイヤルペンギンがオーストラリアの南の端のほうにあるマッコーリー島のみ・イワトビペンギンが南半球の中域の島々や南米の南端・フンボルトペンギンがフンボルト海流に沿ったチリの沿岸となっています。

歩くジェンツーペンギン
正にスーパーアイドル的人気?
ジェンツーペンギン
生息域は南半球に限られているものの、広い地域に19種(分類方法によって若干違います)が生息しています。日本の動物園や水族で大人気の生き物ですが、気候・生息数から気軽に見られる種とそうでない種と偏りがあります。南極に住むコウテイペンギンやアデリーペンギンが飼うのが大変で、コウテイペンギンは大型なのもあってか日本で2園でしか見ることが出来ません。ペンギンに限らず傾向として山の頂上や南極地域に住む動物は、住む場所に病原菌などが少ないので、似た気候再現する以外にも感染症の面で飼育が難しくなる話を聞きます。

皆で歩くオオサマペンギン
コウテイペンギンよりは暑さに強いキングペンギン
比較的寒くないところに住むペンギンになると飼育数が増え、暑さに強いフンボルトペンギンやケープペンギンになると数多くの動物園で見ることが出来ます。日本では半分以上の種類を見ることが出来ますが、一部の種は飼育されていません。ガラパゴスペンギンは数が少ないのが理由だと思われます。

日光浴をする?フンボルトペンギン
日光浴をする?
フンボルトペンギン
特にフンボルトペンギンは日本の気候があっているらしく、数が増えすぎて困るぐらい増えています。上の写真は冬のフンボルトペンギンですが、日光浴をしてからプールに飛び込んでいました。日本の冬が全く寒くないかと言えばそうでもないようです。

ちなみにアデリーペンギンは、ロッテのガム・冷蔵庫メーカーのホシザキ・JR東日本の「Suica」のペンギンです。更に余計なことを言うと「Suica」は、「super urban intelligent card」が正式名称で、ペンギンとは名前的には関係ありません。

過去にはペンギンは乱獲されて減ったりしました。あのペンギンを蒸す機械はマッコーリー島にあり、ロイヤルペンギンが油を採るために蒸されていました。現代では人間の開発により生息域が減ったりしています。例えばフンボルトペンギンの場合は、グアノと呼ばれる肥料の原料の採掘のため、漁業、野生化した猫などの影響で減っています。気候変動もペンギンに大きな影響を与えていますが、種類や生息域の関係で一概に言えません。生息域が広いために種類によって影響が違うのです。生息地の温度上昇や餌の増減が絡み、一部の種は減り・一部の種は増加するという状況が予想されます。例えば、南極に住むアデリーペンギンが数を減らすと予想されるのに対し、ジェンツーペンギンは現状微増する地域も観測されており、横ばいか増加すると予想されています。

※参考文献
静岡市立日本平動物園 環境学習プログラム 「フンボルトペンギン」

ペンギンが南半球に住むのは大食いだから

雪上を歩くジェンツーペンギン
泳ぎが特に速いジェンツーペンギン
ペンギンの餌は主に魚やオキアミで、海を飛ぶように泳ぎ食べます。中でもジェンツーペンギンが速く、時速35km/hです。これは飛べる鳥最速のオオミチバシリと同じくらいです。

ペンギンが南半球にしか生息していないのは、この餌が関係しています。ペンギンは豊富な餌を必要とし、寒流によってできた豊富な餌場を利用しています。ガラパゴスペンギンが住んでいるところの上には餌のない海域があり、それがペンギンの生息範囲を限定しています。ちなみに寒流のお陰で、赤道直下のガラパゴス諸島も気温が抑えられています。勿

ペンギンは一体どれくらい潜れるのでしょうか?種類によっては差があり、大型のペンギンのほうが潜水能力が高いとされていますが、コウテイペンギンの場合は水深500mほどまで潜り、25分以上の潜水を行うことが出来ます。長時間潜るには沢山の空気が必要ですが、空気が肺にあると浮いてしまうので哺乳類では吐き出します。しかし、ペンギンでは逆に息を大きく吸い込み潜ります。コウテイペンギンの場合は10分程度の潜水であれば1分程度水面で休めば再度潜水でき、25分程度潜水した時も5~10程度休めばまた潜ることが出来ます。これは長く潜るほど無酸素運動になり乳酸値が高まるので疲れるためで、休憩時間が伸びるようです。なぜこのように長時間かつ深く潜れるかはよく分かっていないことが多いのですが、体温を下げたり心拍数を下げたり出来ることが一因のようです。

東武動物公園のキングペンギン
キングペンギン
コウテイペンギンより一回り小さい
なぜここまで深く潜るのでしょうか?コウテイペンギンの仲間のキングペンギンは300m程度なら平気で潜ります。このキングペンギンが住む海域では、水深250m程に今まで知られていなかったような餌が沢山ある帯域があり、それを目指していたようです。このように深い水深にも餌場があるのが要因と思われていますが、海の中ではなかなか観察出来ず調査が難しいものです。近年では電子機器の小型化で生物に調査機器を取り付け調査するバイオロギングが発達しています。そのような機器のおかげで、少しづつ詳しく分かってくと思われます。

餌を貰うケープペンギン
餌を貰うケープペンギン
飼育されているペンギンは生きていない魚を上げるわけですが、野生ではもちろん生きた魚を食べます。なので最初は食べることが上手く出来ない個体もいるようです。写真は飼育員さんから餌を貰うケープペンギンです。ケープペンギンはフンボルトペンギンに近い仲間です。我先に我先にと集まって餌を貰っていましたが、餌をボトボト落としていました。その落ちた餌はあまり積極的に拾って食べる様子はありませんでしたが、一晩するぐらいには無くなっているそうです。

ちなみにマーゲイさんが「良い匂い~」とか言っていましたが、どちらかというと魚臭い生き物です。ペンギンに限らずカワウソなど、魚ばかり食べている生き物であんまり良い匂いがする生き物はいないと思います。

※関連文献
佐藤 克文・塩見 こずえ (2011) 「潜水深度を予測して空気量調節を行うエンペラーペンギン 鳥類の最長潜水記録更新 」、佐藤克文 (1996)「海の動物を観る: 最新テクノロジーを用いた高次捕食動物の生物学」

過酷なペンギンの子育て

コウテイペンギンという映画で過酷な子育てを知った方も多いと思います。コウテイペンギンは年に一回一匹子育てをします。コウテイペンギンは天敵を避けるために、南極内陸部で子育てします。資料によって結構幅がありますが沢山の親や子のいるコロニーから餌場まで、片道100~200km歩きます。卵を産んだメスが先に餌を食べに行き、オスはその間絶食しながら卵を温め雛が生まれれば餌を与えます。そしてメスが帰ってきたら、餌を食べに出発します。そのためオスは3ヶ月ほど絶食で耐えます。資料によっては6ヶ月近くオスが耐える場合もあるとありますが、このケースはレアなケースだと思います。メスはオス程ではありませんが、オスが帰ってくるまでか、雛がが一人でも待てるようになる生後一カ月半ほどまで絶食し、再び餌を採りにいきます。コウテイやべ~よ~という感じです。同じ南極に住むアデリペンギンは沿岸に住んでいるので、餌を採りにいっている期間は10日ほどで、ジェンツーペンギンに至っては毎日交代するので絶食はしません。

イワトビペンギンなどもっと温かいところに住むペンギンでは、年二回の子育てをします。雛も二羽ほど育てたりします。コウテイペンギンほどの絶食せず、有名なイワトビペンギンを含むマカロニペンギンの仲間であれば10日ちょっとです。イワトビペンギンは断崖絶壁をぴょんぴょん跳ねながら頑張って通勤します。よくペンギンが崖から落ちたりしても案外平気そうにしていますが、それは骨密度の高さがあります。普通の鳥は飛ぶために骨をギリギリまで削って軽くしていますが、ペンギンは泳ぐために骨密度Maxの硬い骨を持っています。そのために他の鳥にはない頑丈さを持っています。マーゲイさんの「骨太、骨密度の高い」はこのあたりのことからの発言ですね。

温かいところに住むペンギンは住むところも様々なで、ニュージーランドの森に住むキガラシペンギンなどもいます。ふるる~フンボルトペンギンは乾燥や暑さに強く、穴を掘って子育てをします。ペンギンの多くは餌の多い寒流が流れる場所に住むので、住む緯度ほどは暑くないところばかりです。ガラパゴスペンギンの住む赤道直下のガラパゴス諸島ですら、真夏の東京の月平均気温より1~2度高い程度なのです。大半のペンギンにとっては日本の気候はやはり熱いと言えると思います。最初の説明で日本ではフンボルトペンギンが増えすぎてると紹介しましたが、ペンギンの中でも比較的暑さに強いというのもやはり重要なんでしょう。

ペンギンは換羽中も食べられない

東武動物公園のキングペンギン
右のキングペンギンは換羽中
ペンギンは一年に一回羽が生え変わります。これを換羽(かんう)と言います。ペンギンの羽は撥水性がありますが、この時ばかりは撥水性がなくなります。数週間程度の換羽期の間は、海に入らず絶食して耐えます。

※参考文献
『動物大百科7 鳥類Ⅰ』 平凡社、著: いとう良一 監修: 佐藤克文 『知りたい!サイエンス やっぱりペンギンは飛んでいる!!』 技術評論社、上田一生 (2011)『岩波科学ライブラリー ペンギンのしらべかた』

今回はアニメもあんまり動物の紹介という感じではありませんでしたね。資料としていろいろ参考にしましたが、「やっぱりペンギンは飛んでいる!!」は雑学本的に軽く読めるのでお勧めです。ただ、ちょっと信憑性が怪しい部分もある気がしました。

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